自給飼料基盤の拡大・強化による飼料生産性向上と効率的利用技術の開発
水田における低コスト飼料生産の拡大を図るため、各地域の条件に適合した耐冷性、耐病虫性及び直播栽培適性等の改良を行うとともに、高TDN収量(1.0~1.2 t/10a)の稲発酵粗飼料用多収稲品種や外観上識別性を備えた飼料用米向け多収品種 (粗玄米収量1.0t/10a)を育成する。
また、水田、飼料畑、草地の高度利用を促進するため、水田転換畑で栽培可能な耐湿性トウモロコシ実用品種を育成するとともに、寒地・寒冷地向け高糖含量オーチャードグラス品種や暖地向け晩播用早生トウモロコシ品種等、地域条件に対応した品種を育成する。さらに、革新的な飼料作物の開発に向け、画期的育種素材作出や病害虫抵抗性等の有用形質改変のためのDNAマーカーの開発等を進める。
飼料生産・利用においては、コントラクター活用による低コスト化・軽労化を実現する省力播種技術(播種時間、燃料消費を現状の5割まで削減可能な播種技術)、土壌診断に基づく資源循環型肥培管理技術、暖地における2年5作体系による高度土地利用飼料生産技術、寒冷地における省力・省資源自給飼料生産技術、及び耕畜連携による水田の周年飼料生産利用技術等を体系化する。公共牧場への3か月齢未満からの預託を可能にする超早期放牧育成技術等、土地資源を高度に活用した放牧技術を開発する。さらに、輸入穀類に代わる自給濃厚飼料資源として飼料用米やトウモロコシ雌穂(イアコーン)サイレージの生産・利用技術を開発する。
飼料調製・給与においては、国産飼料利用率の向上を図るため、TMRセンター向けの発酵TMR調製技術、発酵微生物や代謝産物の機能性を活用した高機能飼料調製利用技術、飼料の生産履歴管理等により安全性を確保する広域国産飼料流通技術等を開発する。飼料用米については乳肉牛への最大可能給与量を明らかにし、濃厚飼料のでん粉源をすべて飼料用米等の国産飼料とした乳牛向け飼料調製・給与メニュー、中小家畜向け飼料用米利用モデルを開発する。
自給飼料多給による一層のコスト低減と地域条件を活かした特色ある高付加価値で高品質な乳肉生産のため、草地の生産性の季節変化と泌乳ステージを対応させて放牧を最大限に取り入れることにより生産コストを現状から3割削減可能な低コスト乳牛飼養技術を開発するとともに、放牧後の代償性成長や水田・耕作放棄地を活用した放牧肥育による赤身牛肉生産技術及び生産物の品質評価技術、飼料用稲や多様な自給飼料資源を活用した黒毛和種生産技術等を開発する。
普及成果情報
- 2015年 (主要普及成果)
- 高糖分WCS用稲を微細断し高密度輸送・サイロ調製する収穫体系
- 2015年 (主要普及成果)
- 周年放牧肥育技術により赤身の多い牛肉を安定して生産できる
- 2015年
- アブ防除用折りたたみ式新型トラップ
- 2015年
- ICT・複数のセンサを使用し牛の発情を示す乗駕許容行動を判別するシステム
- 2015年
- 飼料用米のサイレージ調製作業体系と低コスト運用条件
- 2015年
- 現場で簡易に測定可能なサイレージ用水分計
- 2015年
- 放牧草地の草量を2地点のみの計測から簡易に推定する方法
- 2015年
- 関東地域におけるトウモロコシ二期作栽培に適した品種の早晩性及び栽培適地
- 2015年 (主要普及成果)
- 飼料用トウモロコシの新たなカリ減肥指針「土壌養分活用型カリ施肥管理」
- 2015年
- 南九州の夏播き栽培に適するネコブセンチュウ増殖抑制エンバク「スナイパー」
- 2015年 (主要普及成果)
- 「イタリアンライグラス中間母本農3号」を利用した低硝酸新品種
- 2014年
- 寒冷地の冬季屋外飼養は黒毛和種繁殖雌牛の生産性や健康に影響を与えない
- 2014年 (主要普及成果)
- 近赤外分析計による自給飼料の新規検量線作成
- 2014年 (主要普及成果)
- 自走式ベールラッパ用ロールベール計量装置
- 2014年
- 国産ダブルローナタネ粕は大豆粕の代替として泌乳牛に給与できる
- 2014年
- 傾斜放牧草地における省力化と省資源化を可能とする新たな施肥法
- 2014年
- 耕作放棄地放牧向けシバ型草地の省力・低コスト造成法
- 2014年
- くず大豆および大豆ホールクロップサイレージは発酵TMR原料として有用である
- 2014年 (主要普及成果)
- 若刈牧草とホールクロップサイレージ大豆の連続栽培による高タンパク質飼料生産
- 2014年 (主要普及成果)
- 二毛作トウモロコシの播種作業時間を大幅に削減可能な耕うん同時播種技術
- 2014年
- 多収と耐倒伏性を両立させた夏播き用エンバク極早生品種「K78R7」
- 2013年
- WCS用稲をトラックでバラ積み輸送し飼料基地で調製する低コスト作業体系
- 2013年
- ウシの咀嚼計と加速度計から行動および姿勢を判別するプログラム
- 2013年 (主要普及成果)
- 泌乳牛に対する輸入トウモロコシから飼料用玄米への代替給与法
- 2013年 (主要普及成果)
- ニホンジカによる採草地の牧草被害率の簡易推定と電気柵導入決定支援シート
- 2013年
- 飼料用稲麦二毛作体系によるホールクロップサイレージの生産技術
- 2013年
- 二毛作トウモロコシの耕うん畝立て播種に適した作業工程とその湿害軽減効果
- 2013年
- エンバク冬枯れ被害防止マニュアル
- 2013年 (主要普及成果)
- 飼料二毛作におけるトウモロコシの簡易耕播種法
研究成果情報
- 2015年
- キタネグサレセンチュウを抑制し、夏播きで多収なstrigosaエンバク品種「リッキー」
- 2015年
- 低標高地での越夏性や永続性に優れるトールフェスク極早生品種「Kyushu 15」
- 2015年
- 播種時期を選ばない暖地向けサイレージ用トウモロコシF1品種「PI2008」
- 2015年
- たちすずかWCS給与による適度な脂肪交雑で良質な肉生産のための肉用牛肥育
- 2015年
- 短稈で耐倒伏性に優れ飼料用米生産に適した水稲新品種候補系統「みなちから」
- 2015年
- 日本短角種2シーズン放牧における肥育中期の目標日増体量は0.6kg以上である
- 2015年
- 日本短角種牛を採草地で冬季放牧する時の家畜管理方法と翌年収量
- 2015年
- 湿潤転換畑での放牧では、耐湿性草種でも踏圧により早期に衰退する
- 2015年
- 耐雪性に優れる早生イタリアンライグラス新品種「東北5号」
- 2015年
- 放牧飼養により牛乳中のシアル酸濃度が増加する
- 2015年
- TMRセンターにおける飼料原料としてのイアコーンサイレージの経済性
- 2015年
- トウモロコシ子実サイレージ(ハイモイスチャーシェルドコーン)の飼料特性と乳生産
- 2015年
- 多収で耐倒伏性に優れる北海道向けサイレージ用トウモロコシ新品種「北交88号」
- 2015年
- 寒地向けでやや早熟期の極多収飼料用米水稲新品種候補系統「北海327号」
- 2015年
- 乳酸菌添加は施肥の異なる茎葉型飼料イネサイレージの発酵品質を改善する
- 2015年
- 暑熱ストレスによるブロイラーの脾臓中サイトカインmRNA発現量の変動
- 2015年
- 黒毛和種雄子牛における経口補給ビタミンEの体内動態と制御遺伝子発現特性
- 2015年
- 木材由来セロオリゴ糖給与は離乳期の黒毛和種放牧子牛の発育を向上させる
- 2015年
- ソルガム新品種「涼風」及び「峰風」を活用した飼料作物作付体系の乾物収量
- 2015年
- トウモロコシの耐湿性育種に利用可能な湛水・還元耐性に関与する遺伝子座
- 2015年
- 消化性に優れるトールフェスク新品種「那系1号」
- 2015年
- 近縁野生種由来の耐湿性遺伝子を持つトウモロコシ新親自殖系統「Na110」
- 2015年
- 近縁野生種由来の耐湿性を持つトウモロコシ新品種「那交907号」
- 2015年
- 茎葉多収型イネWCS用品種「たちはやて」は飼料用稲麦二毛作体系に適する
- 2015年
- 窒素過剰施用に伴う茎葉型WCS用イネの窒素含有率の上昇と発酵品質の低下
- 2014年
- 周年放牧肥育技術により放牧赤身牛肉生産が可能になる
- 2014年
- 飼料用玄米の破砕粒度を細かくすることにより泌乳成績は向上する
- 2014年
- 冬季のススキ優占草地は子牛生産性に影響を及ぼすことなく放牧利用できる
- 2014年
- 飼育環境の違いによるストレス反応はウシの品種間で異なる
- 2014年
- 油脂TBA試験紙を用いた牛肉脂質過酸化度の測定と脂質安定性の予測
- 2014年
- 火入れはクズの埋土種子を出芽させ、放牧は出芽個体を消滅させる
- 2014年
- 寒地型牧草はネムノキの樹冠下で収量と栄養価が高まる
- 2014年
- シロクローバのリビングマルチを用いた飼料作物の有機栽培輪作体系
- 2014年
- フェストロリウムのフェスクゲノム構成率推定に必要なサンプルサイズ
- 2014年
- 携帯型生育量測定装置を用いた放牧草の単位面積あたり粗タンパク質量の推定
- 2014年
- 放牧専用利用オーチャードグラス草地の収量、栄養価、永続性
- 2014年
- 堆肥化におけるイアコーン茎葉残渣の水分調整材としての特性
- 2014年
- イアコーンサイレージ給与による乳中ラクトン含量の変化
- 2014年
- チモシーの高重合度フルクタンを合成・分解する酵素遺伝子群
- 2014年
- WSC含量が高くTDN収量の多いオーチャードグラス中生品種「北海30号」
- 2014年
- 3Dデジタルカメラによる放牧育成牛の体高測定
- 2014年
- 稲麦サイレージ二毛作は食用麦との二毛作に近い経済性が見込まれる
- 2014年
- エンドファイト由来のロリンアルカロイドはアカスジカスミカメの生存率を低下させる
- 2014年
- ライグラスにおける新規いもち病抵抗性遺伝子座
- 2014年
- 3つの冠さび病抵抗性遺伝子を持つイタリアンライグラス新品種「那系33号」
- 2014年
- 耐塩性が強く茎葉が多収な稲発酵粗飼料用新品種「ソルトスター」
- 2014年
- 「タカナリ」の脱粒性を改善した中生の多収性水稲新品種「オオナリ」
- 2014年
- 飼料用オオムギにおけるビタミンEの推移に着目した最適な収穫時期
- 2013年
- 晩植したWCS用飼料イネ品種におけるイチモンジセセリ幼虫の発生と被害
- 2013年
- 放牧後の残草量を少なくすれば放牧草の枯死部が減って栄養価が高まる
- 2013年
- 堆肥切り返し直後の顕著なN2O排出は主に表層の脱窒菌によって生成される
- 2013年
- 高刈りがとうもろこしホールクロップサイレージの飼料特性に及ぼす効果
- 2013年
- 多収でそばかす病に強いアルファルファ品種「北海6号」
- 2013年
- 日本短角種に出産、哺育される黒毛和種子牛は発育が良い
- 2013年
- ダイレクトカット収穫による大豆ホールクロップサイレージの刈取り適期
- 2013年
- メドウフェスクとトールフェスクは大型のサテライト染色体を持つ
- 2013年
- 早生で倒伏に強い稲発酵粗飼料用水稲新品種候補系統「奥羽飼414号」
- 2013年
- 広域連携周年放牧を支援する技術マニュアル
- 2013年
- 飼養条件が異なる肉用肥育牛の筋肉内遺伝子発現のモニタリング
- 2013年
- 冬季牧草から夏季牧草パリセードグラス品種「MG5」への切り替えは可能である
- 2013年
- アンモニアイオンメータによるサイレージ中VBN含量の測定
- 2013年
- 子ブタの回腸粘膜からセグメント細菌が優勢に検出される
- 2013年
- 酸化クロム共存条件における牛糞試料中酸化チタンの比色定量法
- 2013年
- 放射性セシウムを含む玄米配合飼料を給与したブタ体組織の放射性セシウム濃度
- 2013年
- ソルガム穀実のDPPHラジカル消去活性とタンニン含量の非破壊推定法
- 2013年
- オーチャードグラスサイレージを分離源とする新種乳酸菌Lactobacillus iwatensis
- 2013年
- 飼料用米サイレージを分離源とする新種乳酸菌Lactobacillus oryzae
- 2013年
- トウモロコシから飼料用玄米への代替は泌乳牛の尿中窒素排泄率を低下させる
- 2013年
- 季節性の組み入れによるライジングプレートメーターの検量線の推定精度向上
- 2013年
- 導入されたセンチピードグラスは放牧条件下で容易に定着し優占草種となる
- 2013年
- オオムギ食用品種は飼料用として利用できる