土地利用型耕種農業を支える先導的品種育成と基盤的技術の開発
水田作の一層の低コスト化と生産性向上及び二毛作の拡大に資する目的で、国内の気候区分に対応した、新規需要向けや二毛作向けの水稲品種、高品質なムギ・ダイズ品種の育成、及びその加工利用技術の開発を行うとともに、先導的品種育成のための基盤技術を開発する。
水稲では、社会的に要請の高い米粉パンなど新規需要用、外食産業等への業務用としての適性に加えて、耐病性、収量性、直播適性、高温耐性及び二毛作適性を備えた品種を育成するとともに、DNAマーカー等の活用により育種の効率化を進める。また、100%米粉や玄米全粒粉等の米粉パン等への利用技術、及び米ぬか等の未利用機能を活用した加工利用技術を開発する。
さらに、生産性の飛躍的向上や気象変動に対する品質と収量の安定化を図るため、多収性や環境ストレス耐性等の機構を解明し、これらに関わる有用遺伝子を活用した育種素材を開発するとともに、遺伝子組換え稲利用のための一般稲と組換え稲の区分管理技術を開発する。
コムギでは、国内生産を大幅に拡大するため、輸入銘柄に匹敵する高品質なパン用、めん用などの品種を育成する。また、DNAマーカー等の利用により赤かび病抵抗性などの障害抵抗性や成分特性に優れた品種を育成するとともに、でん粉やグルテン特性に特徴のある新規用途向き品種とその利用技術を開発する。
オオムギでは、新規需要を拡大するため、高β-グルカン含量やでん粉変異などの新規胚乳成分特性などを導入した高品質品種や大麦粉用品種を育成し、その利用技術を開発する。また、複合病害抵抗性等を有する安定多収品種・系統を育成するとともに、二毛作向けの飼料用系統を開発する。
ダイズでは、DNAマーカー等を利用して重要病虫害抵抗性、耐倒伏性、難裂莢性を基幹品種に導入することなどによって、機械化適性の高い安定多収品種を育成するとともに、草型や栽培特性の改変により省力多収系統を開発する。また、蒸煮大豆等の加工適性に寄与する形質を解明し、新たな需要の開拓が期待できる有色ダイズやタンパク質組成変異などの新規特性を有する品種とその加工利用技術を開発する。
さらに、ムギの越冬性や穂発芽耐性、ダイズの耐冷性、耐湿性等を向上させるため、分子生物学的手法等を利用して湿害等の機構解明を進めるとともに、関連遺伝子の発現制御技術及びこれらの形質を改善するための育種素材を開発する。
普及成果情報
- 2015年 (主要普及成果)
- 製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」
- 2014年
- 淡色味噌に好適で晩播栽培において多収の大豆品種「あきまろ」
- 2014年 (主要普及成果)
- 大粒で豆腐加工に適する中生の早の大豆品種「シュウリュウ」
- 2014年 (主要普及成果)
- ダイズモザイク病と倒伏に強い中生の大豆品種「あきみやび」
- 2014年 (主要普及成果)
- 硝子率が低く精麦品質が優れる早生・多収の裸麦品種「ハルヒメボシ」
- 2013年 (主要普及成果)
- 高温登熟性に優れ、良食味で多収の水稲品種「中国201号」
- 2013年 (主要普及成果)
- 中生の多収・良質・良食味水稲品種「あきだわら」
- 2012年
- 粒が大きく、つややかな外観の良食味水稲品種「みずほの輝き」
- 2012年 (主要普及成果)
- 多収で主要な縞萎縮ウイルス系統に抵抗性の二条大麦新品種「はるか二条」
- 2011年
- コムギ穂発芽耐性遺伝子を検出できるDNAマーカー
- 2011年
- ミルキークイーンの出穂性を改変した水稲新品種「ミルキーサマー」
研究成果情報
- 2015年
- 難裂莢性で耐倒伏性が強く醤油加工に適した大豆新品種「たつまろ」
- 2015年
- パスタ適性に優れる日本初のデュラム小麦新品種候補「セトデュール」
- 2015年
- 温暖地向けの高アミロース水稲新品種「ふくのこ」
- 2015年
- 食パンの硬化を低減する澱粉合成遺伝子変異の組合せ
- 2015年
- 東北地域を対象とした水稲の高温耐性検定基準品種の選定
- 2015年
- 植物型レバンを生産できるテンサイ
- 2015年
- アブシジン酸分解酵素遺伝子によるイネ幼苗の低温伸長性の改良
- 2015年
- 寒地向け多収・低アミロース米水稲新品種候補系統「北海324号」
- 2015年
- 穂ばらみ期耐冷性が強く多収の業務用米に適する水稲新品種「雪ごぜん」
- 2015年
- 出芽期大豆の核内タンパク質群は冠水ストレスにより同調的に抑制される
- 2015年
- 大豆の出芽期における冠水による障害をナノ酸化アルミニウムが軽減する
- 2015年
- ダイズペクチンメチルエステラーゼは蒸煮大豆の硬さに関与する
- 2015年
- 変異型のWx遺伝子を持つ小麦系統におけるアミロース含量の段階的な低減
- 2015年
- アミロース含有率を低下させるイネ第2染色体上のQTL
- 2015年
- 縞葉枯病抵抗性で早生、良食味、多収の水稲品種「ほしみのり」
- 2015年
- 白葉枯病菌感染後のオーキシン蓄積の抑制および白葉枯病抵抗性の向上に関与するOsSAUR51遺伝子
- 2015年
- 短稈遺伝子sd1のアリルにより、イネ玄米のタンパク質含量がコントロールできる
- 2015年
- 多収で硬化性が低く和菓子に向く糯の水稲新品種「ふわりもち」
- 2015年
- 早生で多収の極良食味水稲新品種「つきあかり」
- 2014年
- 損傷デンプンが少なく膨らみの良い米粉パンが出来る水稲新品種「こなだもん」
- 2014年
- 大豆のラッカセイわい化ウイルス抵抗性遺伝子の座乗位置
- 2014年
- 輸入小麦銘柄の品質は関連遺伝子型頻度によって特徴付けられる
- 2014年
- 蒸煮大豆の硬さに関与するQTLの同定とDNAマーカーの開発
- 2014年
- コムギ品種「きたほなみ」の優れた製粉性を支配する遺伝要因
- 2014年
- 幼穂形成前の低水温が穂ばらみ期の水稲穎花の耐冷性を低下させる分子機構
- 2014年
- コムギのクラスI、クラスII低温ショックドメインタンパク質は低温応答に関与する
- 2014年
- コムギの新規強親水性天然変性タンパク質WCI16は耐凍性を向上させる
- 2014年
- 北海道地域で育成されたイネ品種群の遺伝的集団構造
- 2014年
- 新たに同定したイネのアブシジン酸合成に関わるキサントキシン脱水素酵素遺伝子
- 2014年
- イネ転移因子マイクロアレイを用いた低温鈍感力評価法
- 2014年
- アブシジン酸によるイネの細胞周期および生育抑制を解除するサリチル酸の効果
- 2014年
- 大豆の出芽期における冠水による障害軽減にアブシジン酸が関与する
- 2014年
- 出芽期大豆の冠水ストレス応答にカルシウムが関与する
- 2014年
- DOG1相同遺伝子の発現強化によりコムギ種子休眠性を強めることができる
- 2014年
- 「サチユタカ」に難裂莢性を導入した大豆新品種「サチユタカA1号」
- 2014年
- 登熟期間中のイネ茎部β-(1→3),(1→4)-グルカンの減少
- 2014年
- 開花時高温不稔の回避に有効なイネ近縁野生種由来早朝開花性QTL
- 2014年
- 硬くなりにくく和菓子への加工適性を有する、多収の水稲糯新品種「やたのもち」
- 2014年
- 極多収で加工用に適した早生水稲新品種「とよめき」
- 2014年
- 焼酎醸造特性が優れる寒冷積雪地向け六条皮麦新品種「ゆきみ六条」
- 2014年
- 出穂期の窒素追肥によりコメのセルロース含有量は低下する
- 2014年
- イネとダイズの簡便な高密度水耕栽培法(Single-tube hydroponics)
- 2014年
- 製麺適性に優れる早生の高アミロース米水稲品種「あみちゃんまい」
- 2013年
- 大麦の高リジン変異体は種子のγ-アミノ酪酸および遊離アミノ酸の含量が高い
- 2013年
- 温湯処理による水稲種子の発芽促進効果
- 2013年
- 無催芽種子直播における低温発芽遺伝子qLTG3-1による初期生育量の増加
- 2013年
- イタリア料理リゾットに向き、栽培しやすい水稲新品種「和みリゾット」
- 2013年
- 水稲登熟期の高温ストレスにより玄米において蓄積が増加するフェノール性化合物
- 2013年
- 溶存酸素濃度低下を反映して増加する大豆タンパク質は冠水障害の指標になる
- 2013年
- 耐倒伏性で草姿が優れる小粒黒ダイズ新品種「くろこじろう」
- 2013年
- アブシジン酸代謝酵素遺伝子の変異集積はコムギの穂発芽耐性を向上させる
- 2013年
- オオムギの登熟過程でアリューロン層に蓄積する抗菌成分
- 2013年
- アミロースが減少する3種の小麦Wx-A1遺伝子における変異の特定
- 2013年
- 水稲多収品種「タカナリ」の高光合成能に関与するQTL-GPSの遺伝子単離
- 2013年
- グルコース測定に基づく糖質米の新たな簡易選抜
- 2013年
- 病虫害抵抗性で収量が多い中粒だいず新品種候補系統「東北171号」
- 2013年
- 水稲幼苗の低気温障害に先立ち硝酸と亜硝酸が葉に蓄積する
- 2013年
- 早生で多収の直播栽培向き良食味水稲新品種候補系統「奥羽416号」
- 2013年
- いもち病に強く耐倒伏性に優れる水稲新品種候補系統「奥羽糯413号」
- 2013年
- 温暖地向けリポキシゲナーゼ全欠のだいず新品種候補系統「四国10号」
- 2013年
- 水稲胚乳の成熟におけるプログラム細胞死の時間的・空間的進行過程
- 2013年
- 温風導入型オープントップチャンバーによる圃場高温処理法
- 2013年
- 深水栽培は水稲の茎のソース機能を増加させ白未熟粒発生を抑制する
- 2013年
- 穂発芽に強く製粉性が優れる長崎ちゃんぽん用硬質小麦新品種「長崎W2号」
- 2013年
- 多収でいもち病と縞葉枯病に強い低アミロース米水稲新品種「ぴかまる」
- 2012年
- 大豆の冠水抵抗性機構においてユビキチン-プロテアソーム分解が抑制される
- 2012年
- α-アミラーゼの抑制によって登熟期高温で発生する水稲の白未熟粒を低減できる
- 2012年
- デンプン枝付け酵素1活性を欠く糯イネ系統は餅の硬化が遅い
- 2012年
- 登熟中期の平均気温は酒米「山田錦」のタンパク質組成に影響する
- 2012年
- 高温登熟性に優れ、良食味で多収の水稲品種候補系統「中国201号」
- 2012年
- 米菓用に適した多収水稲糯新品種候補系統「北陸糯216号」
- 2012年
- ソフトタイプ米菓に適した低アミロース水稲新品種「亀の蔵」
- 2012年
- 雪腐病菌接種で発現が誘導されるコムギフルクタン分解酵素遺伝子
- 2012年
- いもち病抵抗性極強の直播向き良食味水稲新品種候補系統「奥羽407号」
- 2012年
- ダイズモザイク病に強く良質な中生の早のダイズ新品種候補系統「東北166号」
- 2012年
- 微細で低損傷デンプンの米粉ができるパン用水稲新品種候補系統「奥羽405号」
- 2012年
- ダイズモザイク病と倒伏に強い中生のダイズ新品種候補系統「東北164号」
- 2012年
- ダイズ子実への高カドミウム蓄積性を判別できる高精度DNAマーカー
- 2012年
- 試料粉砕を省いた小麦原粒灰分の簡易省力測定法
- 2012年
- 北海道における秋まき小麦の収量構成要素と生育気温の関係
- 2012年
- 製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」
- 2012年
- イネの開花しない突然変異の交雑抑制能力と既存品種へ導入した場合の影響
- 2012年
- 水稲幼苗の高地温依存の低気温障害の原因は光合成電子伝達の遮断にある
- 2012年
- 低根域温度及び低湿度が水稲の水分吸収と成長に及ぼす影響
- 2012年
- 地上部の蒸散要求が水稲の根のアクアポリン発現の日周変動を引き起こす
- 2012年
- 大豆根の湿害を地上部での生物フォトン測定により検出できる
- 2011年
- コムギ発芽抑制遺伝子MFTの同定
- 2011年
- 晩生型開花期遺伝子の導入により大豆品種の栽培適地を南に拡大できる
- 2011年
- 多収で成熟期の早い暖地向け黒大豆新品種候補系統「九州164号」