果樹・茶生産の生産性向上技術及び高付加価値化技術の開発

カンキツについては、平均気温が2°C以上上昇しても品質低下の影響を1/2以下に抑えられる品種やカットフルーツに適した液だれ性の低い品種を育成するとともに、加工専用園を対象とした化学農薬使用の半減技術やハダニ等の効果的防除技術、酵素剥皮技術等を開発する。リンゴ等の寒冷地果樹については、安定して着色する早生又は中生のリンゴ品種の育成及び香り等の優れたリンゴ育種素材の開発を行うとともに、加工用リンゴを対象に省力樹形と摘果剤等の活用により労働時間を生食用慣行の1/3に削減する技術や土着天敵を活用したハダニ等病害虫の効果的防除技術を開発する。ニホンナシ、クリ及び核果類については、低温要求性の低いモモ等を育成するとともに、ニホンナシ等の機械化栽培に適した整枝法やウメ茶かす症等の効果的防除技術、モモ果実の軟化制御技術を開発する。ブドウ及びカキについては、黄緑色又は安定して着色するブドウ品種を育成するほか、カキにおいて、わい性台木の早期育苗技術や樹上脱渋法を開発するとともに、枝幹害虫に対する効率的な防除技術を開発する。また、画期的な果樹品種の効率的育成に向けて、リンゴの斑点落葉病抵抗性等の高精度DNAマーカーを開発するほか、複数遺伝子に支配される果実形質に優れる個体の効率的選抜技術やナシ等で生産コストを低減可能な品種の育成に利用可能な育種素材を開発する。茶については、海外需要の高い抹茶・粉末茶に対応する品種の育成や機能性成分を多く含む系統の開発、品種特性に応じた栽培体系の確立、加工技術の開発、品質評価法の開発、機能性成分の解明を行うほか、肥料成分の動態解明による省資源茶園管理技術及び多揉捻による高品質製茶法を開発するとともに、病害虫の生態解明等に基づく高度発生予察法を利用したIPMモデルを確立する。さらに、果樹では、普及性の高い品種を育成するため、全国の公設試と連携した系統適応性検定試験及び流通・小売業者や消費者による求評会を実施するとともに、カンキツ新品種の速やかな普及に向けて、種苗業者への穂木の供給量を倍増させる。茶では、主産府県と連携した育成系統評価試験や現地実証試験を実施するとともに、苗木の供給量を増加させる。品種特性にあった栽培法や製茶法を提示するとともに、セミナー等における試飲を行い、普及の促進を図る。

普及成果情報

2020年
カンキツの果実、加工品におけるSNPジェノタイピング解析による品種識別技術
2020年
イチジク株枯病抵抗性台木の新品種「励広台1号」
2020年
果実発色促進装置による収穫後のリンゴとブドウの着色改善
2020年
自家和合性で果実が大きくヤニ果の発生の少ないウメ新品種「麗和」と「和郷」
2020年
高品質なカンキツ果実を生産するためのシールディング・マルチ栽培(S.マルチ)
2019年 果樹茶業研究部門
水出し緑茶の特性をわかりやすく説明したウェブサイト「なるほど・ザ・水出し緑茶!」
2019年 果樹茶業研究部門
海外需要が高い抹茶・粉末茶に適した緑茶用新品種「せいめい」
2019年 果樹茶業研究部門
安定性と再現性が確保されたカンキツの品種識別技術マニュアル
2019年 果樹茶業研究部門
カンキツのDNAマーカー開発を支援するミカンゲノムデータベース(MiGD)
2019年 果樹茶業研究部門
天敵が主役の<w天>防除体系 「新・果樹のハダニ防除マニュアル」
2019年 果樹茶業研究部門
赤ナシ果皮地色の非破壊評価法
2019年 果樹茶業研究部門
従来の白肉品種よりも早く収穫できる極早生白肉モモ新品種「ひめまるこ」
2019年 果樹茶業研究部門
クリ「ぽろたん」の安定生産に効果的な受粉樹の植栽方法
2018年 果樹茶業研究部門
カンキツの種なしに関わる形質である雄性不稔性を選抜するDNAマーカー
2018年 果樹茶業研究部門
カンキツ類の多胚性識別のためのDNAマーカー
2018年 果樹茶業研究部門
安定性と再現性が確保されたブドウの品種識別技術マニュアル
2018年 果樹茶業研究部門
果実保護ネットによる短梢せん定ブドウの鳥獣害対策の省力化
2018年 果樹茶業研究部門
ニホンナシ「あきづき」および「王秋」の果肉障害対策マニュアル
2017年 果樹茶業研究部門
高温でも容易に着色する極大粒のブドウ新品種「グロースクローネ」
2017年 果樹茶業研究部門
「あきづき」のコルク状果肉障害はエテホン散布による熟期促進で低減できる
2017年 果樹茶業研究部門
酸味が少なく糖度が高いニホンスモモ新品種「ハニービート」
2017年 果樹茶業研究部門
果皮が着色しやすく日持ちが良い早生のリンゴ新品種「紅みのり」(べにみのり)
2017年 果樹茶業研究部門
甘く多汁で食味が良く着色しやすい中生のリンゴ新品種「錦秋」(きんしゅう)
2017年 果樹茶業研究部門
糖度が高く、ドリップの少ない晩生カンキツ新品種「あすき」

研究成果情報

2020年 果樹茶業研究部門
乗用型茶園管理機に搭載する速度連動肥料散布ユニット
2020年 果樹茶業研究部門
玉露のヘッドスペースに含まれる香気寄与成分
2020年 果樹茶業研究部門
耐寒性が強くクワシロカイガラムシ抵抗性のある中生緑茶用品種「かなえまる」
2020年 果樹茶業研究部門
高精度DNAマーカーの開発と解析をMS Excel上でサポートするソフトウェアGUGSの開発
2020年 果樹茶業研究部門
カキから検出されるウイルス・ウイロイドと、カキ品種「麗玉」の生育不良
2020年 果樹茶業研究部門
網羅的遺伝子診断による、ブドウ台木3品種のウイルス・ウイロイド非検出個体の獲得
2020年 果樹茶業研究部門
ニホンナシ果皮色に関連するDNAマーカー
2020年 果樹茶業研究部門
花弁が多く大輪の鑑賞用モモ新品種「プードルピンク」、「プードルレッド」、「プードルホワイト」
2020年 果樹茶業研究部門
リンゴのカラムナー性は、活性型ジベレリンの欠乏により生じる
2020年 果樹茶業研究部門
NAC水和剤によるリンゴの摘果に影響を及ぼす要因と摘果効果の推定
2020年 果樹茶業研究部門
カラムナータイプリンゴを用いた隔年交互結実による加工用リンゴの生産方法
2020年 果樹茶業研究部門
リンゴ果皮クロロフィル含量の非破壊評価法
2020年 果樹茶業研究部門
リンゴ斑点落葉病の罹病性原因遺伝子Altを識別できるDNAマーカー
2019年 果樹茶業研究部門
抹茶特有の香りに重要な低沸点成分
2019年 果樹茶業研究部門
チャのカフェイン合成酵素遺伝子を利用したカフェインレス個体の選抜マーカー
2019年 果樹茶業研究部門
倍加半数体の利用によるリンゴの高感度QTL解析
2019年 果樹茶業研究部門
カンキツの花成促進遺伝子を利用した世代促進法の開発
2019年 果樹茶業研究部門
イチジクとイヌビワの種間雑種由来のイチジク株枯病抵抗性系統の作出
2019年 果樹茶業研究部門
収穫後の適切な光照射と温度処理により赤色系ブドウ果実の着色が改善する
2019年 果樹茶業研究部門
植物病原細菌Dickeya dadantiiの土壌接種による果樹急性枯死症状の再現
2019年 果樹茶業研究部門
ニホンナシ果実の糖成分の品種間変異と環境変異
2019年 果樹茶業研究部門
リンゴ黒星病菌のDMI剤感受性低下にはCYP51A1遺伝子の非同義塩基置換が関わる
2019年 果樹茶業研究部門
リンゴ幼木期の最適着果量の推定と生産性の品種・台木間差の評価方法
2019年 果樹茶業研究部門
リンゴ「あかね」の黒星病圃場抵抗性に寄与する染色体領域の特定
2019年 果樹茶業研究部門
酵素剥皮果肉を用いたシラップ漬けの果肉の実崩れには煮沸滅菌の温度とシラップの糖濃度が関与する
2019年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンでのβ‐クリプトキサンチンの可視・近赤外分光法による非破壊計測法
2019年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンのβ-クリプトキサンチンは貯蔵・流通中に減少せず増える場合がある
2019年 果樹茶業研究部門
温州ミカンは果実発育期前半の7~9月の乾燥ストレス付与で翌春の花芽が増加する
2018年 果樹茶業研究部門
チャノミドリヒメヨコバイに対するチャ遺伝資源の抵抗性要因は師管液摂取の阻害である
2018年 果樹茶業研究部門
チャトゲコナジラミの天敵寄生蜂シルベストリコバチの累代飼育法と生態特性
2018年 果樹茶業研究部門
直がけ被覆栽培をした一番茶新芽の摘芽形質の特徴とその評価法
2018年 果樹茶業研究部門
国産抹茶の価格と化学成分含有量の関係
2018年 果樹茶業研究部門
天然型アブシジン酸含有新規液剤散布処理でブドウ「ピオーネ」の果皮着色が向上
2018年 果樹茶業研究部門
べと病菌感染時に発現が誘導される「シャインマスカット」の防御応答関連遺伝子
2018年 果樹茶業研究部門
次世代で完全甘ガキの獲得が期待できる非完全甘ガキ品種
2018年 果樹茶業研究部門
ブドウべと病抵抗性に関与する葉裏の毛じ密度を減少させる遺伝子座
2018年 果樹茶業研究部門
ウメ「南高」に発生する葉縁えそ病の原因と被害実態
2018年 果樹茶業研究部門
硬肉モモの原因因子はオーキシン生合成酵素遺伝子YUCCAの発現抑制である
2018年 果樹茶業研究部門
クリ幼木では晩秋から冬季の窒素施肥によって翌春に芽が枯死する危険性がある
2018年 果樹茶業研究部門
「Chimarrita」、「Coral」はモモせん孔細菌病抵抗性の有望な育種素材である
2018年 果樹茶業研究部門
ニホンナシ成熟果実の糖成分および全糖含量のQTLの同定
2018年 果樹茶業研究部門
ニホングリ在来品種「奴」の易渋皮剥皮性は「ぽろたん」と同様に劣性主働遺伝子支配である
2018年 果樹茶業研究部門
植物病原細菌Dickeya dadantiiによるリンゴ急性衰弱症
2018年 果樹茶業研究部門
リンゴ「ふじ」の果実の大きさに影響を与える樹体及び着果管理要因
2018年 果樹茶業研究部門
リンゴ果皮の赤色の濃さおよび着色面積の識別に有効なDNAマーカー
2018年 果樹茶業研究部門
ハウス栽培の中晩生カンキツ「せとか」に発生する生理障害「果実軟化症」
2017年 果樹茶業研究部門
台湾産半発酵茶の香気寄与成分の特定
2017年 果樹茶業研究部門
機能性成分高含有のチャ品種「MK5601」
2017年 果樹茶業研究部門
香りに特徴がある緑茶用品種「きよか」
2017年 果樹茶業研究部門
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9法により作成したブドウのアルビノ変異体
2017年 果樹茶業研究部門
低温によるウンシュウミカンの花成誘導にアブシジン酸が関与する
2017年 果樹茶業研究部門
リナロールを高含有化した遺伝子導入オレンジはカンキツかいよう病菌の生育を抑制する
2017年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンの全配列解読と遺伝子機能の予測
2017年 果樹茶業研究部門
カキ「太月」および「太天」における貼り付け式樹上脱渋法の最適な処理条件
2017年 果樹茶業研究部門
ブドウ「ピオーネ」果房への夜間のLED光近接照射による果皮色向上
2017年 果樹茶業研究部門
ブドウ「安芸クイーン」への環状はく皮は着色関連遺伝子の発現を促進させる
2017年 果樹茶業研究部門
ブドウ苗木への噴霧接種によるブドウ黒とう病抵抗性評価法
2017年 果樹茶業研究部門
2016年春のニホンナシ花芽の発芽不良は凍害と休眠進行不順の両方に起因する
2017年 果樹茶業研究部門
渋皮がむきにくいニホングリにおいても渋皮剥皮率に品種間差異が存在する
2017年 果樹茶業研究部門
ジェネラリストカブリダニ類に対する簡便で精度の高い薬剤感受性検定装置の開発
2017年 果樹茶業研究部門
果樹園に発生する土着ジェネラリストカブリダニ類に悪影響の小さい殺虫剤
2017年 果樹茶業研究部門
リンゴにおける官能による果汁の多さの客観的評価方法
2017年 果樹茶業研究部門
リンゴにおける粉質化程度に関するDNAマーカーの開発
2017年 果樹茶業研究部門
リンゴ果肉組織の細胞間隙溶液量による収穫適期の判定
2017年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンにおける着花数予測技術の開発
2017年 果樹茶業研究部門
ゲノミックセレクションのカンキツ育種での有効性
2016年 果樹茶業研究部門
チャの生葉の低温保管による夏茶臭改善効果の解明
2016年 果樹茶業研究部門
中国茶の含水率と水分活性
2016年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンの雄性不稔性は花粉数の減少を要因として後代に遺伝する
2016年 果樹茶業研究部門
少数の祖先品種から交雑を繰り返すことで多様なカンキツ品種が発生した
2016年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンには発現特性の異なる3種のGA2酸化酵素遺伝子が存在する
2016年 果樹茶業研究部門
ウンシュウミカンの親がキシュウミカンとクネンボであることをDNAマーカーで推定
2016年 果樹茶業研究部門
ゲノム編集技術CRISPR/Cas9法により標的遺伝子に変異導入したリンゴを効率的に作成できる
2016年 果樹茶業研究部門
リンゴ「ふじ」のハプロタイプ家系解析で蜜入りなどの原因染色体領域を解明
2016年 果樹茶業研究部門
九倍体「平核無」由来のわい性で八倍体の枝変わりカキ新品種「八秋」
2016年 果樹茶業研究部門
フラグメント解析によるカキ甘渋性DNAマーカー領域のアリル構成の推定