気候変動等の環境変動への対応及び生物多様性保全のための研究開発
将来の気候変動が農業に与える影響を高精度に予測・評価するため、土地利用型作物や果樹等に対する気候変動の影響を予測するモデルを開発し、評価に適した空間解像度にダウンスケールした共通気候シナリオを用いて、国内農業への影響を評価するとともに、高度化した広域影響評価モデルにより、グローバルな食料生産変動評価を行う。気候変動下での安定生産に資するため、ムギ類・水稲を中心として、高温耐性品種の評価・活用や高温による不稔・登熟障害への対応などによる高温障害対策技術を開発するとともに、土地利用型作物や果樹を主な対象として、地域特性を踏まえた気候変動リスク評価や将来影響予測等を考慮した栽培管理支援技術及び気象情報と連動した早期警戒・栽培管理支援システムを確立する。農業分野の温暖化緩和に資するため、国際的枠組みに対応した温室効果ガス排出量の算定を精緻化し、また、炭素・窒素循環の評価に基づき、温暖化緩和技術の適用による排出削減量を評価するとともに、モンスーンアジア地域での温室効果ガス排出等の低減方策を提示する。農業が生物多様性に及ぼす影響を評価し、生物多様性等と関連した生態系サービスを解明・評価するため、農業が享受する生態系サービスの評価手法を開発するとともに、土地利用変化や外来生物等の侵入・導入等の環境変化に伴う生物多様性や生態系サービスへの影響を評価する手法を開発する。幅広いユーザーによる環境変動情報の活用を促進するため、簡便かつ持続的な環境モニタリング手法を開発する。得られたデータからユーザーが使い易い情報基盤を構築するとともに、情報解析手法の高度化、情報発信技術の開発・導入を行う。さらに、開発された温暖化適応技術、早期警戒・栽培管理支援システムについては、地域特性を踏まえた現地実証試験等により、社会実装を図る。また、温暖化対応及び生物多様性保全に係る知見については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)等の国際的枠組みを通じて、積極的な国際貢献を図る。
普及成果情報
- 2020年
- データ駆動型土壌管理のための土壌データ配信サイト「日本土壌インベントリー」
- 2020年
- 貯水地の落水を中心とする、特定外来生物カワヒバリガイの管理手順
- 2020年
- 果樹・果菜類の受粉を助ける花粉媒介昆虫の調査マニュアル
- 2020年
- 「土壌のCO2吸収「見える化」 サイト」の機能拡張と土壌情報更新
- 2020年
- 放射の影響を除去できる新原理のセンサ「三球温度計」
- 2020年
- わい化栽培リンゴ「ふじ」での着色向上のための窒素施肥基準の策定
- 2020年
- 気候変動による温州ミカンの着花性および「不知火」のこはん症発生の変化と対策技術
- 2020年
- 水稲の収量や品質に影響を与える夏季の高温指標の全国分布の長期データ
- 2020年
- 高温・高CO2複合影響を考慮した新たな水稲収量および外観品質の気候変動影響評価
- 2020年
- 世界の穀物生産における気候変動への適応費用
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2019年
- 2019年版改良IPCCガイドラインに採用された農耕地から発生する温室効果ガス算定法
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2019年
- 養豚汚水浄化処理施設からの温室効果ガス排出を大幅削減する炭素繊維リアクタ-
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2019年
- 水稲の主要な発育ステージを面的に把握し、予測する情報発信システム
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2019年
- 日本全国1km地域気候予測シナリオデータセット(農研機構地域気候シナリオ2017)
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2018年
- 小型GNSS受信機を用いた高精度測位マニュアル(ドローン用対空標識編)
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2018年
- メッシュ農業気象データを使用した改良版牧草播種晩限日計算プログラム
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2018年
- 気象情報を利用して水田圃場の給排水を最適化・自動化するスマート水管理ソフト
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2018年
- 予測を含む気象データを利用した水稲、小麦、大豆の栽培管理支援システム
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2018年
- メッシュ農業気象データをいつでも利用できるモバイルアプリ
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2018年
- メッシュ農業気象データをエクセルに取り込むためのモジュール
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2018年
- 圧雪処理(雪踏み)は野良イモ対策と秋まき小麦の収量確保の両立を可能にする
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2018年
- 着脱容易で耐久性のある果実被覆資材によるリンゴ日焼け軽減技術
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2018年
- ブドウ「巨峰」等の着色不良発生予測マップ
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2017年
- デジタル土壌図のウェブ配信-「日本土壌インベントリー」と「e-土壌図II」の公開-
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2017年
- ドローンを用いたほ場計測マニュアル(不陸(凹凸)編)
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2017年
- 水田畦畔・斜面草地における生物多様性に配慮した刈払い管理
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2017年
- 水田水管理による温室効果ガス削減のためのMRV実施ハンドブック(英文)
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2017年
- 家畜尿汚水浄化処理に関する実測に基づく精緻化された温室効果ガス排出係数
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2017年
- 中山間地の精密な気象データをアメダス等から推定する農地環境推定システム
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2017年
- 過去値と9日先までの予報値を含む1kmメッシュ積雪情報
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2017年
- 水稲の出穂日を面的に推定するプログラムと推定マップをweb公開
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2017年
- 秋季温暖化に適応した夏季播種技術を支援する牧草の晩限日計算プログラム
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2017年
- コメの収量および品質低下リスクの将来変化に関するデータセットの公開
研究成果情報
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2020年
- DNAバーコーディングを用いた外来ゴキブリの同定
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2020年
- 土壌含水率の分布推定にドローン空撮画像を活用するためのデータ拡張方法
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2020年
- 環境DNAを用いた特定外来生物カワヒバリガイの調査手法
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2020年
- 水田の生物多様性を高める取組を網羅的な文献レビューから評価
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2020年
- スーダンでコムギ収量を維持するには現在主力の高温耐性品種比で年あたり2.7%の収量増加が必要
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2020年
- 大気CO2濃度の増加は水田が周辺地域の気温上昇を緩和する効果を低下させる
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2020年
- 醸造用および生食用ブドウの収穫期における酸含量は気温から推定できる
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2020年
- 温暖化条件下で威力を発揮する水稲の再生能力を活かした米の飛躍的多収生産技術
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2020年
- 水稲に被害をもたらすフェーン注意情報の作成と発信
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2020年
- パラフィン入肥料による水稲白穂発生抑制技術
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2020年
- 水稲の広域的な冷害、高温害の発生予測システム
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2020年
- 露地野菜栽培圃場における被覆硝酸肥料の施用による一酸化二窒素排出削減
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2020年
- 薬用作物トウキの収穫適期推定プログラム
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2019年
- 適期の刈取りで外来牧草の草地外への種子逸出は減少する
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2019年
- 有機・農薬節減栽培の水田では多くの動植物が生息できる
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2019年
- セイヨウミツバチの尻振りダンス自動解読システム
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2019年
- 生分解性プラスチック製マルチの土壌中での分解を葉面酵母の酵素塗布処理で加速させる
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2019年
- 世界の乾燥地域では、農地土壌の炭素量増加で穀物生産の干ばつ被害が低減
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2019年
- 栽植密度の変化に対応可能なダイズの葉面積生長モデル
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2019年
- チベット高原の高標高地域の温暖化は低標高地域ほどは進行していない
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2019年
- 過去27年間の干ばつによる世界の穀物生産被害とその詳細な地理的分布
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2019年
- 気候変動がわが国のコメ外観品質に及ぼす影響を広域で予測する統計モデル
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2019年
- 水稲生産への気候変動影響評価に適したメッシュサイズは地形の複雑さにより異なる
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2019年
- 水稲でのCO2施肥効果を高めるにはモミ数と登熟歩合の両者のCO2応答性が重要である
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2019年
- リンゴ幼木では晩秋から冬季の窒素施肥が芽に凍害を与える危険性がある
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2019年
- ビワ果実の成熟日は開花後の気温の経過から精度良く予測できる
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2019年
- 玄米中のフェノール性化合物の含有率に関与する量的形質遺伝子座
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2019年
- 水稲多収品種の登熟に関与する量的形質遺伝子座
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2019年
- 高温登熟条件下における大麦への実肥施用の効果は穂揃期の生育状態が影響する
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2019年
- 温暖化時におけるダイズ増収に有用な日長反応性の遺伝子座
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2019年
- 土壌水分推定モデルとヒストリカルデータを利用したダイズの土壌乾燥害の定量化
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2019年
- 低窒素栄養条件でも高CO2による増収が大きい水稲多収品種の特性
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2019年
- 水田の耕作放棄後の生態系炭素貯留量は外来種侵入の有無に依らず一旦減少後増加する
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2019年
- 北海道の水田での中干し・間断灌漑は水稲収量を維持しつつメタン排出を削減する
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2018年
- 病害虫のカテゴリカル順序データから発生動態を解明する手法
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2018年
- 品種間差を考慮した作物の成長の安定性の高い予測手法
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2018年
- 全国の農耕地土壌の保水性や透水性を示す土壌物理特性値マップ
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2018年
- 葉面常在菌が分泌するエステラーゼ酵素の併用で病原菌による雑草の防除効果が高まる
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2018年
- 水田の休耕・耕作放棄が生物多様性に与える影響は生物群や環境要因によって異なる
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2018年
- アズマネザサの繁茂した耕作放棄畑を森林に再生させるための植生管理
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2018年
- DNAバーコーディングによるセイヨウミツバチが利用する花粉種組成の定量的分析手法
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2018年
- 複数の気象機関の季節予測データを利用した新たな穀物収量予測手法
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2018年
- 地球温暖化による穀物生産被害は過去30年間で平均すると世界全体で年間424億ドル
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2018年
- 排せつ物のリサイクルに立脚する牧草生産全体から発生する温室効果ガスのLCA
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2018年
- 高温に伴った背白粒の発生と窒素施与による白濁抑制の細胞生理学的要因
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2018年
- 高温乾燥風による水稲のリング状乳白粒形成の細胞生理学的要因
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2018年
- 気候、栽培条件の趨勢を考慮した水稲の面的出穂日予測のWeb発信システム
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2018年
- 有材補助暗渠機を用いた排水改善による一酸化二窒素排出削減効果
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2018年
- 北海道水稲の発育予測モデルにおける品種の早晩を適切に推定するパラメータ作成法
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2018年
- 温暖化の季節的偏りが北海道のジャガイモの収量を減少させている
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2017年
- 農業環境研究における研究成果、データをオープン化する手引きを作成
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2017年
- イネにおける作物体内ミネラル輸送ダイナミクスの解析手法の開発
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2017年
- 東南アジアの潅漑水田における節水型水管理AWDによるメタン排出削減
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2017年
- 放牧草地の硝化抑制剤施用はN2O発生、硝酸流亡を減らし収量を増加させる
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2017年
- 転換畑土壌の短期間の冠水によるN2O大量発生時の脱窒菌群の特徴
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2017年
- 既存の硝化抑制剤とは異なる作用機作を持つ硝化阻害剤フェニルヒドラジンの硝化抑制効果とその評価
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2017年
- 草地更新に伴う土壌攪乱が更新作業期間中のCO2放出量に及ぼす影響
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2017年
- 高度な水管理のための水田水温シミュレーションモデル
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2017年
- 気候変動により将来の世界の穀物収量の伸びは鈍化する
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2017年
- 多収性水稲品種「タカナリ」の高CO2環境下での蒸発散量は現在の水稲栽培と同程度
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2017年
- ビワの光合成の最適温度は季節変動し、冬季の光合成は加温により増加する
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2017年
- 水稲の開花期における高温不稔耐性を再現良く効率的に評価できるシステム
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2017年
- 水稲のシンク容量増大に関与するアリルは高CO2濃度で収量を顕著に増加させる
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2017年
- アメダスから直達日射量及び散乱日射量の時間別値を推定する方法
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2017年
- 植物生息細菌から見出された新規のUVA吸収成分「メチロバミン」
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2017年
- 国際連携研究で大気CO2濃度上昇時のコメの収量予測の信頼性を向上
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2017年
- 気候変動で北海道の産地でワイン用ブドウ「ピノ・ノワール」が栽培可能に